レジのお金を盗むとどうなりますか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

窃盗罪に問われる可能性が高いです。

 

  • バイト先のレジのお金を取ったら窃盗罪に問われますか?
  • 会社からレジのお金を横領したと疑われています
  • レジの金銭着服で警察から逮捕されますか?

このようなレジの不正出金に関するご相談がたくさん寄せられています。

刑事事件チームの弁護士がレジから不正に現金を引き出した場合について解説いたします。

 

レジからお金を抜いたら何の罪にあたる?

バイト先のスーパーマーケットなどでレジ係の方が、お金を取って自分のものにしてしまう行為は、通常、「窃盗罪」に問われます。

このようなケースにおいては、「横領罪」が成立すると誤解される方もいますが、横領罪の場合は、「自己の占有する他人のもの」であることが要件となります。

「占有」の意義については、窃盗罪の占有と異なり、事実上の占有だけでなく、法律上の占有も含むと解されていますが、横領罪の主体としての地位を基礎づけるものであり、横領行為をなし得る立場にあることを意味します。

すなわち、窃盗罪と異なり、横領罪は、委託者との関係で、濫用のおそれがある支配力が必要となります。

例えば、会社の経理担当者が、会社のお金を自分のものにしてしまうような場合、横領罪(業務上横領罪)が成立すると考えられます。

バイトのレジ係の場合、その職務は、レジの業務をすることであって、レジの中のお金の管理まで命じされているとはいえません。

したがって、罪に問われるとしたら、通常は横領罪ではなく、窃盗罪となります。

 

窃盗罪の刑罰

窃盗罪の場合、法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります(刑法235条)。

懲役刑か罰金刑かで今後の影響が大きく変わりますが、初犯の場合は、軽い罰金刑の方が課される可能性があります。

ただし、初犯であっても、レジから取ったお金が高額な場合や悪質なケースの場合、懲役の可能性もあるでしょう。

根拠条文
(窃盗)
第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

引用元:刑法|電子政府の総合窓口

 

窃盗罪の時効

窃盗罪の場合、刑事時効の期間は「7年間」となります。

これはあくまで刑事事件で起訴できないという期間であって、民事上(損害賠償請求)の時効とは異なります。

 

 

どんな場合に窃盗罪になる?

窃盗罪は、「他人の財物を窃取した」場合に成立します。

レジのお金は、他人(会社)の財物といえます。

「窃取」とは、占有者(会社や店長)の意思に反して、財物の占有を領得することをいいます。

また、窃盗罪には、主観的な構成要件として、「不法領得の意思」も必要と考えられています。

不法領得の意思とは、①権利者を排除して他人の物を自己の所有物として振る舞い、②その経済的用法に従い利用又は処分する意思をいいます。

例えば、レジ係がレジの中からお金を取り出して、自分のポケットの中に入れれば、「窃取」したといえるでしょう。

また、このとき、レジ係が「借用しただけで、後からお金を返そうと思っていた。」と主張したとします。

仮に、そうだとしても、レジのお金を使おうとしていたのですから、不法領得の意思は認められると考えられます。

 

 

レジのお金をとったら逮捕される?

レジのお金をとったことが店側にわかっている場合、警察に対して、被害届を提出する可能性があります。

そうすると、警察は捜査を開始する可能性があります。

具体的には、容疑者を警察署に呼び出して事情聴取したり、いきなり職場や学校に訪れることも考えられます。

逮捕されるか否かはケース・バイ・ケースですが、例えば、レジ窃盗の証拠がある場合に、容疑者が容疑を否認していれば、逮捕される可能性あると思われます。

逮捕について、具体的な要件などはこちらのページでくわしく解説しています。

 

 

不起訴になるためにはどうすればいい?

お店に対する示談交渉

逮捕や起訴を避けるためには、被害者に対して謝罪し、誠実に示談交渉をすることが大切です。

示談が成立すれば、店側が被害届を取り下げてくれるので、警察もわざわざ逮捕や起訴をする必要がないと判断してくれる可能性があります。

 

お店への被害弁償

被害者の被害感情によっては、示談までは受け入れてくれない場合もあります。

でも、このような場合でも、被害弁償させてほしいなどと申し入れるべきです。

レジで盗んだお金を全額弁償すれば、捜査機関に対し、容疑者が反省していることや、再犯の可能性が低いことを伝えることができ、不起訴となる可能性があります。

 

自首の検討

被害者が会社組織の場合、社の方針として、示談や被害弁償一切応じないとういケースもあります。

このような場合でも、まずは粘り強く示談交渉をすべきです。

また、警察に自首(ないし出頭)し、犯罪事実を自発的に申告することも検討して良いでしょう。

自首について、メリットや注意点等についてこちらのページをご覧ください。

 

示談交渉に強い弁護士の存在

示談交渉する上で、刑事弁護士の役割は重要です。

通常、被害者は加害者側との直接の交渉は嫌がりますが、弁護士であれば、信頼性が高い第三者として交渉に応じてくれる可能性があります。

また、示談成立時に示談書の作成や被害届の取り下げなども弁護士が行ってくれます。

刑事事件についてお悩みの方は、当事務所の刑事弁護士までお気軽にご相談ください。

ご相談についてはこちらをご覧ください。

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