オレオレ詐欺事件の共同正犯で起訴。保釈、執行猶予を獲得した例

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

罪名 詐欺事件の共同正犯
解決までの期間 3ヶ月
弁護活動の結果 保釈、執行猶予付き判決

事例人物

Aさん(20代)

進学のためのお金欲しさから詐欺の共同正犯で逮捕されてしまったAさん

Aさんは大学2年生であり、大学院進学に向けて学費を貯めるため、バイトをしていました。

しかしながら、Aさんがやっていたバイトは時給が低く、貯金が思うように増えなかったため、繁華街のキャッチやボーイなど、夜のバイトもするようになっていきました。

そして、夜のバイトで仲良くなった友人から、先輩という人を紹介されました。

その人物は、「とある荷物を受け取りに福岡に行ってくれる人を紹介してほしい。君の報酬は荷物の価値の10パーセントにするよ。」と言い、怪しい仕事の誘いをしてきました。

Aさんは、その人物の雰囲気や仕事内容の不自然さから、これはいわゆる特殊詐欺というやつではないかという疑問を持ちました。

しかし、当時はお金が少しでも欲しかったことや、万が一特殊詐欺であったとしても自分が受け子やかけ子になるわけではないから、逮捕されることはないのではないかという甘い考えから、その仕事を引き受けてしまいました。

Aさんは半年間で5人ほどの受け子を紹介しましたが、そのうちの1人が福岡で逮捕されるに至りました。

そして、その受け子を特殊詐欺に誘い込んだ疑いがかけられ、Aさんも詐欺罪の共同正犯として逮捕されるに至りました。

Aさんの両親は、突然の事態に驚き、刑事事件に強い弁護士が在籍している当事務所に相談をしました。

 

両親から依頼され早期の弁護活動により執行猶予付の判決を獲得

私たちは、両親から事件の話を聞いた後、取調べ対応に関するアドバイスを早急にする必要があると考え、直ちに接見に行きました。

初回接見サービスはこちらをご覧ください。

本人から話を聞いたところ、「お金ほしさで安易に引き受けてしまったが、特殊詐欺の受け子を紹介していると確信してからは、もう辞めたいと考えていた。でも、詐欺グループの人に伝えても辞めさせてもらえなかった。」などと話していました。

その他の事情も聞いた感覚として、Aさんは既に特殊詐欺に関わってしまったことを深く後悔している様子でした。

私たちは、Aさんの将来のために、この刑事事件を通して、Aさんの反省を更に高め、詐欺グループとの関係を断絶させる必要があると考えました。

連日接見に出向き、詐欺行為の悪質性や詐欺グループとの関係を断つことの重要性を説き、Aさんの理解も深まっていきました。

また、特殊詐欺の事件は往々にして処罰が厳しくなる傾向にあることから、Aさんも実刑判決となる可能性がないとはいえませんでした。

そのため、Aさんが利益を全く得ていないとしても、被害者に被害弁償をする必要があると考え、被害者に示談交渉の申し入れを行いました。

しかしながら、被害者は、詐欺グループを恐れており、弁護士を通じた被害弁償すらも受け入れたくないという意向を持っていました。

そこでAさんは、次善の手立てとして、贖罪寄付を行うことにしましたが、示談が成立しなかったことから、起訴されてしまいました。

Aさんについては追起訴の予定もなかったことから、起訴された直後に保釈請求を行いました。

保釈請求においては、罪証隠滅を行うつもりがないこと等を強く論じた結果、無事に保釈が認められ、Aさんは日常生活を送りながら裁判を待つことになりました。

裁判では、詐欺グループとの力関係、現実には一度も報酬をもらっていなかったこと等から共同正犯ではなく、幇助犯として処罰を受けるべきであることや、詐欺グループとの関係を断絶させるために両親がAさんを監督すること等を証拠によって示し、今回に限り執行猶予付の判決とすることを求めました。

その結果、共同正犯であるとの認定はされたものの、Aさんは執行猶予付の判決を獲得することができました。

 

 

今回のポイント

ポイント

詐欺罪の中でも特殊詐欺は、組織性や密行性が高い類型であり、その上、主犯格の立件が困難であるとされています。

多くの場合、捜査機関が足取りを追うことができるのが末端の受け子等をしている者であり、末端の者は上位者の名前すら知らず、連絡先も個人が特定できないアプリ等を介したもので行われているからです。

幸いにも上位者の情報を知っているケースであれば、司法取引制度の運用が開始された平成30年6月以降は、司法取引の成立によって、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。

この事件は、平成30年6月以前の事件でしたので、司法取引は絡みませんでしたが、今後は、司法取引を利用することが可能な事件なのかどうかを検討した上で弁護活動を展開する必要があります。

司法取引制度の運用開始についてはこちらのページをご覧ください。

また、この事件では、Aさんの母親が情状証人として証言台に立ち、監督を誓約してくれました。

判決では、両親の監督に期待できることが執行猶予付き判決にした理由の一つとして述べられました。

両親のサポートが、子の将来を守った事件でもあります。

当事務所には刑事事件チームが設置されており、刑事専門の弁護士が、被疑者・被告人のために弁護活動を展開します。

刑事事件でお困りの方、大切な家族が逮捕されてしまった方は、まずはお気軽に当事務所にご相談ください。

 

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

実績紹介 / 刑事事件の相談件数年間200件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所の代表弁護士。法律問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて法

律問題についての取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執

筆。


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