少年事件の処分にはどのようなものがある?

掲載日:2020年4月7日|最終更新日:2020年4月7日

少年事件とは?

少年事件とは、少年(20歳に満たない者のことをいいます。)の健全な育成を目的として、非行が認められる少年に対して、性格を矯正したり生育環境を整えたりするために保護処分を行うことを目的として進められる手続きになります。

このような目的で進められる少年事件は、犯罪を行った大人に対して刑罰を科すことを目的として手続きが進む刑事事件(刑罰主義といいます。)とは全く目的が違います。

このような少年事件の性質は、「保護主義」と呼ばれています。

少年事件の対象となる少年は3つに区別されます。

犯罪少年

14歳以上で罪を犯した少年

触法少年

14歳未満で、犯罪少年に該当する行為を行った少年

ぐ犯少年

保護者の正当な監督に服さない性癖があるなど、その性格又は環境に照らして、将来犯罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあると認められる少年

 

 

少年事件の流れ

少年事件は、警察・検察官による捜査の後、家庭裁判所に送致されます。

そして、家庭裁判所は少年について調査を行い、審判を開くかどうか、審判を開くとしてどのような処遇とするべきかを決定します。

審判が開かれた場合にどのような処遇となるかについては、以下で述べるとおり、①不処分、②保護処分、③都道府県知事または児童相談所長送致、④検察官への送致に大別できます。

 

 

少年事件の結果は?

①不処分

審判までの間に、非行の原因となった少年の問題点が完全に無くなったと判断されるような場合、家庭裁判所が少年に対して処分を言い渡す必要がなくなります。

このような場合には不処分という結果に終わります。

不処分となった場合、処分自体は何も行われませんが、非行事実に間違いがない場合には、非行歴としてきちんと記録されます。

 

②保護処分

保護観察

保護観察とは、保護観察司が少年と定期的に面会し、少年の状況確認を行うことを通じて少年の問題点を改善していくものです。

保護観察司と接する以外の時間については特に身体拘束をされるわけではありませんので、これまで通りの日常生活を送ることが可能です。

保護観察において、少年が守るべきルールとしては、一般遵守事項と特別遵守事項があります。

一般遵守事項は、保護観察処分を受ける少年全てに義務付けられるルールで、更生保護法に基づいて以下の5つが定められます。

更生保護法第50条

1号 再び犯罪をすることがないよう、又は飛行をなくすよう健全な生活態度を保持すること
2号 次のことを守り、保護観察官と保護司による指導監督を誠実に受けること
イ 保護観察官か保護司の呼び出し・訪問を受けたときはこれに応じ、面接を受けること
ロ 保護観察官か保護司から、労働・通学の状況、収入・支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実を明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はその事実に関する資料を提示すること
3号 保護観察に付されたときは、速やかに住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届け出をすること
4号 前号の届け出にかかる住居に居住すること
5号 転居又は7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の町の許可を受けること

特別遵守事項は、個別の事情に応じて定められるものです。

例えば、性犯罪を犯してしまった場合には再度同様の犯行を行わないよう、性犯罪者の更生プログラムを受けることがルールとして定められることがあります。

少年院送致

少年院には以下のように4つの種類があります。

第1種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満の者(ただし、第2種少年院対象者を除く。)が対象

第2種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満の者が対象

第3種少年院

保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満の者が対象

第4種少年院

少年院において刑の執行を受ける者が対象

護送車要保護性(非行の原因となった少年の問題点)が強く、社会内での更生が見込めないと考えられた場合、少年院送致の処分が取られることがあります。

少年院送致は少年事件の中で一般的に最も恐れられている処分ではありますが、この処分もあくまで少年の性癖等の改善のために行われるものですので、前科にはなりません。

しかし、少年院送致の処分が取られた経験があるにもかかわらず、成人してからも犯罪を行ってしまった場合、当然処分が重くなる方向で考慮されることになります。

試験観察

家庭裁判所家庭裁判所は、保護処分を決定するために必要があると認めるときは、決定をもって、相当な期間、少年を調査官の観察に付することができると定められています(少年法25条1項)。

この条文による処分を、試験観察といいます。

少年事件では、家庭裁判所の審判において、少年の処遇を決定します。

この審判の時点で、少年を保護観察処分として社会内に戻すには少年自身や環境の問題(要保護性といいます。)が大きすぎるような場合のうち、直ちに少年院送致の処分を下すことも不適切ではないかと考えられるような場合に、試験観察が利用されることになります。

試験観察は、家庭裁判所の調査官が少年を指導・監督して少年の立ち直りを支援しながら、要保護性を可能な限り下げていくことを目的としています。

試験観察の結果が良いものであれば、不処分や保護観察といった社会内での処遇に委ねる処分が下されることになりますが、逆に試験観察の結果が悪いものであれば、少年院送致の処分が下されることになります。

いわば、試験観察は中間的な処分なのです。

試験観察という処分をマイナスに捉える少年や家族が稀にいますが、試験観察制度がなければ家庭裁判所としても少年院送致の決定をする他ないケースがほとんどでしょうから、試験観察は少年や家族にとってプラスに捉えるべき制度です。

また、試験観察には在宅の試験観察と、補導委託の試験観察の2つがあります。

在宅の試験観察の場合には、家庭裁判所の審判において試験観察処分に付する旨が言い渡された後は、簡単に試験観察の説明を受け、そのまま家に帰ることができます。

一方、補導委託の試験観察の場合には、家ではなく、補導委託先の団体で生活を送ることになります。

③都道府県知事又は児童相談所長送致

家庭裁判所が、児童福祉法の規定による措置を受けさせるべきであると考えるときは、都道府県知事や自動相談所長に対して送致することになります。

これらの機関に送致された後は、個々のケースに応じて、誓約書を提出させたり、児童福祉司等による指導が行われたり、児童福祉施設に入所させたりといった措置が行われることになります。

もっとも、この処分結果となることはそこまで多くありません。

④検察官送致

事件の悪質性や少年の状態から、保護処分ではなく刑事罰が相当であると考えられる事件があります。

家庭裁判所が刑事罰を受けさせるべきだと考えた場合、検察官に起訴するか否かを委ねるため、検察官に送致します(少年法第20条1項)。

また、16歳以上の少年が意図的に行った犯罪行為によって被害者を死亡させてしまった場合は、原則として検察官に送致されることになっています(少年法第20条2項本文)。

検察官送致を受けた後は、通常の刑事事件と何ら変わるところなく手続きが進んでいきます。

不起訴とならずとも、刑事罰が少しでも軽いものとなるように活動を行なっていく必要があるでしょう。

 

 


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