罰金から1年以内の盗撮再犯で、勾留請求されずに釈放された事例

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

罪名 盗撮の罪
解決までの期間 2ヶ月
弁護活動の結果 示談成立、罰金刑

事例人物

Kさん(60代)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

盗撮の前科があり依存症だったKさん

Kさんは、仕事のストレス等から、盗撮に依存するようになっていました。

盗撮を繰り返していると、当然いつかは発覚しますから、遂にKさんは盗撮によって罰金刑を科されました。

もう二度と盗撮はしないと妻に誓約をしていたKさんでしたが、罰金刑を受けてから1年後、また盗撮をしてしまいました。

盗撮Kさんは犯行直後には捕まりませんでしたが、盗撮に気付いていた被害者がKさんの写真を撮っていたため、警察によって身元を調査された結果、後日突然逮捕されます。

Kさんの妻は、逮捕されたKさんの状況が分からず、居ても立っても居られなかったため、当事務所に相談にいらっしゃいました。

当事務所の刑事事件チームの弁護士が相談を行い、本人から詳しい事情を聞いてきてほしいとの要望を受けたため、相談を受けたその日のうちに初回接見サービスとしてKさんの接見に行きました。

初回接見サービスについてはこちらをご覧ください。

Kさんから事情を聞いたところ、犯行は認めており、被害者の方に謝罪したいということでした。

また、勾留で長期間身体拘束を受けることは回避したいという希望を持っていたこともあったため、接見後直ちに正式な弁護人として活動を開始しました。

 

弁護活動の結果、勾留請求もされず、罰金刑で終了

まずは担当の警察官・検察官に受任の通知をし、被害者の連絡先を聞きだしました。

検察官には、示談交渉を進めること、本人は住居も仕事も明らかであり、逃亡のおそれがなく、勾留する必要は皆無であることを説明し、妻の誓約書も併せて提出しました。

検察官は、勾留請求の予定であると初めは述べていましたが、結局は勾留請求をせず、在宅事件とする方針に切り替えてくれました。

私たちは、示談交渉を進め、被害者に対し、今後の流れを説明し、民事上の解決が双方にとって望ましいことを粘り強く説明しました。

女性は既婚者であり、夫が激しく怒りを見せていましたが、最後は納得をし、一定額の示談金をお支払いする代わりに被害届を取り下げるということで合意に至りました。

示談ができたことにより、懲役刑は免れ、再度の罰金刑で刑事上の処分は終了しました。

なお、罰金額は、示談が成立していることもあり、低額なものとなりました。

 

 

今回のポイント

身体拘束の早期解放について

同様の事例を数多く経験して感じるのは、漫然と勾留請求を行い、裁判官の判断に委ねればいいや、と考えている検察官が非常に多いということです。

今回の事件では、これまで何度も盗撮を繰り返していたとはいえ、実刑となるおそれは限りなく0に等しい事案ですから、逃亡のおそれなど微塵もありません。

また、盗撮をした相手が顔見知りでもない以上、街中で探し出して直接働きかけることも現実的ではありませんから、証拠を隠滅するおそれも全くありません。

弁護士今回は仮に勾留請求がされていたとしても、私たちが裁判官に適切に意見を述べれば勾留請求は却下される事案だったと考えていますが、勾留請求が認められることはないと検察官に理解してもらえたことで、より早期に釈放されることとなりました。

このように、裁判所だけではなく、検察官に対しても適切に意見を述べていくことが大きなポイントとなります。

 

処分結果について

Kさんの事例は、何度も盗撮を行っていたことに加え、前回の罰金刑からおよそ1年しか経っていない状態での再犯でした。

そのため、何もせずに処分を待っていれば、悪質であると判断され、公判廷で懲役刑を求刑される可能性も0ではありませんでしたし、そうでなくても上限に近い額の罰金刑が待っていたでしょう。

それにもかかわらず低額の罰金刑で済んだのは、被害者との示談が成立していることが考慮されたからです。

このことからも、被害者がいる犯罪では、やはり示談を成立させることが処分に大きな影響を与えるということが分かります。

 

再犯防止に向けて

釈放後、Kさんとやり取りをするにつれて、Kさんは盗撮をやめられないことに苦しんでいる様子であることが分かりました。

私たちは、「これ以上家族に迷惑をかけるわけにはいかないけれど、どうしたらいいのか分からない。」と悩むKさんに、性犯罪加害者更生支援団体や精神科等での治療の案内をしました。

現在Kさんは再犯防止、盗撮への依存症からの脱却に向けて戦っているところです。

家族Kさんのご家族からは、示談成立という結果以上に、更生に向けての筋道を立てた点について、感謝を述べられました。

一般に、性犯罪の再犯率は高い傾向にありますから、当事務所ではこのように性犯罪を行ってしまった方には専門的な治療を受ける機会を設けるよう促すこととしています。

盗撮事件で警察から捜査を受けている方、ご家族が盗撮をしてしまってお困りの方は、刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所に、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

実績紹介 / 刑事事件の相談件数年間200件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所の代表弁護士。法律問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて法

律問題についての取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執

筆。


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