強制わいせつ事件の示談とは?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

弁護士の回答

強制わいせつ事件の示談とは、強制わいせつの犯人(加害者)と被害者との間で行う和解をいいます。

通常は、加害者が被害者に対して一定の金銭を支払い、被害者は加害者に対して他の請求権を放棄し、被害届を取り下げてもらいます。

 

 

示談とは

刑事事件における示談交渉とは、犯人(加害者)が犯罪被害者との間で、一定の金銭を支払うことを条件として、被害届の取り下げなどを目指す活動をいいます。

 

 

強制わいせつの示談金の相場

強制わいせつは、刑法第176条に規定があり、その法定刑(6月以上10年以下の懲役)が示すとおり、重い犯罪です。

なお、類似する犯罪として、痴漢の罪(福岡県であれば、福岡県迷惑防止条例第6条1項1号)があります。

例えば、衣服の上から体を触るような場合は痴漢が成立するにとどまりますが、無理やりキスをする、下着の中に手を入れる、等の場合は強制わいせつが成立する可能性があります。

強制わいせつは、当然、痴漢の場合よりも、示談金の相場が高くなる傾向です。

しかし、わいせつ行為の具体的な内容や状況によって金額が異なるため、個別に判断する必要があります。

 

無理やりキスをした場合の慰謝料の相場

例えば、無理やりキスをした場合の示談金は、50万円程度という印象です。

もっとも、示談は被害者が納得しなければ成立しません。

相手が、金額を引き上げなければ示談に応じず、かつ、加害者としても早期解決を望む場合、100万円を超える示談を行う場合も想定されます。

 

 

加害者側の示談のメリット

強制わいせつは、個人的法益、性的自由に対する罪です。

明確な被害者が存在する犯罪ですので、その被害者と示談し、許しを得ることができれば、国家が刑罰を課す必要はなくなります。

そもそも刑罰は、当人同士で解決ができない問題であるときのためにあるものです。

したがって、示談をし、被害届けを取り下げてもらったり、告訴を取り消してもらったりすることができれば、不起訴の確率は大きく高まります。

また、起訴後であっても、示談が成立すれば、量刑に大きく影響します。

具体的には、執行猶予がつく可能性を高めることができます。

 

加害者からのよくある質問

 

示談をするために必要なことは何ですか?


被害者の連絡先を入手することが必要です。

示談をするためには、被害者の連絡先を入手することが必要です。

もし知人が被害者なのであれば、既に連絡先を知っているかもしれませんが、被害者の連絡先を知らないケースであれば、警察を通じて、被害者の連絡先を入手する必要があります。

被疑者本人からの問い合わせであると、被害者は連絡先の開示に応じてくれませんから、弁護人を選任し、弁護人を通じて、被害者の連絡先を入手する必要があります。

また、被害者は、性的自由を害され、深く傷ついています。

特に、強制わいせつの場合、性犯罪の中でも、性的自由を侵害する程度が特に高い類型にあたるといえることから、被害者の精神的ショックは、同種の性犯罪の中でも特に強いことが多いと考えられます。

そのため、往々にして示談交渉は難航します。

被害者の心情に最大限配慮した示談交渉を粘り強く行うことが重要となります。

示談交渉においては、基本的には弁護人が被害者に連絡を取ることになりますが、場合によっては、本人も同伴の上で示談交渉に出向いたり、被害者に宛てた謝罪文を渡したりすることもありますから、弁護人の指示に従い、迅速・適切な行動をする必要もあります。

 

示談書は作った方がいいですか?


トラブルを防止するために、示談書を作成すべきです。

示談は、口頭の合意であっても法的には可能です。

しかし、示談をする目的は、紛争を解決することにあります。

後から言った言わないのトラブルを防止するために、示談書を作成すべきです。

特に、捜査が行われている事案では、示談成立後、捜査機関に示談書を提出して不起訴処分を求めます。

したがって、示談書は必要となります。

なお、当事務所では、示談書の書式をホームページ上に公開しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。

強制わいせつの示談書につきましては、痴漢の示談書を参考にされてください。

合わせて読みたい
示談書の書式集

 

 

被害者側の示談のメリット

強制わいせつは痴漢や盗撮などよりも犯行が悪質であり、被害に遭われた方は、深く傷ついていらっしゃいます。

「お金など犯罪者から受け取りたくない」という方もいらっしゃるかと思います。

しかし、示談には、刑事裁判では得られないメリットもあります。

 

加害者の行動を制限する

例えば、示談に応じる代わりに、勤務先・学校やご自宅付近に接近しない、ということを確約してもらう場合があります。

この場合、示談書の中に、以下のような条項を入れます。

「乙は、今後、○○町に正当な理由なく立ち入らないことを確約する。」

また、同じ会社であれば、顔を見なくて済むように、転勤ないし退職してもらう、ということを確約してもらう場合があります。

この場合、示談書の中に、以下のような条項を入れます。

「乙は、○○株式会社に対し、速やかに異動申請を行い、○○支社から○年○月○日までに転勤するよう努力することを確約する。」

「乙は、○年○月○日限り、○○株式会社を退職することを確約する。」

上記のような合意は、刑事裁判はもちろん、民事裁判でも不可能です。

 

被害者からのよくある質問

 

示談に応じるべきですか?


相手の対応しだいでは、示談に応じるべきと考えます。

示談は性犯罪者の方の安心を得るという点でも、大きなメリットがあります。

したがって、相手の対応しだいでは、示談に応じるべきと考えます。

その上で、加害者が不誠実な対応に終止するようであれば、示談を打ち切ればよいでしょう。

 

示談金が安すぎると考えたらどうすればいいですか?


まず、適正額を知ることが重要です。

示談金の相場は、状況によって異なるため、刑事専門の弁護士に相談されるなどして相場を確認されることをおすすめします。

そのうえで、示談金が相場よりも低い場合は、増額を提示されると良いでしょう。

その場合、過去の同種事案の裁判例などを示すと、示談金の額を上げてくれる可能性があります。

 

 

まとめ以上、強制わいせつ事件の示談について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

強制わいせつ事件は、被害者がおり、犯罪被害に苦しまれているため、示談を進めていくことが必要となります。

示談は、加害者だけでなく、被害者にとっても、メリットがあります。

もっとも、示談を成立させる場合は、適切な内容の示談書を作成することが重要です。

また、金額面での折り合いがつかない状況や、その他の条件でも苦慮されているケースが見受けられます。

そのため、示談についてご心配な方は、刑事事件専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

この記事が刑事事件でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

 


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