強制わいせつで被害届を提出されたら?弁護士が事例で解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

慌てる会社員
強制わいせつで有罪を回避するにはどうすればいいですか?

被害届を取り下げてもらうにはどうすればいいですか?

被害届の取り下げと不起訴は関係がありますか?

当事務所には、このようなご相談が多く寄せられています。

ここでは、当事務所の刑事弁護士が実際に解決した事例をもとに、強制わいせつの不起訴のポイントについて解説いたしますので、参考にされてください。

なお、強制わいせつ罪は、2023年の法改正により不同意わいせつ罪に名称が変更されました。

以下では、「不同意わいせつ」と表記します。

罪名 不同意わいせつ
解決までの期間 2週間
弁護活動の結果 被害届取下げ

Fさん(30代男性 / 北九州市)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

 

マッサージの客から苦情を言われ、警察が介入する騒ぎになったFさん

困る男性Fさんは、マッサージ店においてマッサージ師として活躍していましたが、とある日の客から、「胸を触られた、下腹部を触られた、恥ずかしい体勢にされた」等として苦情を言われ、警察に被害届を提出されました。

その日のうちに警察がマッサージ店を訪れ、事情聴取が行われました。

Fさんは、施術の一環であると主張しましたが、被害者と警察には聞き入れてもらえず、捜査が継続されることになりました。

 

 

故意を争っていたものの、示談交渉を承諾

マッサージFさんは、このままでは、逮捕されてしまうと不安に感じ、事務所を訪れました。

弁護士は事情を聴取した結果、このままでは逮捕・起訴に至る可能性が高いと判断し、事件を受任しました。

私選弁護人となり、すぐに警察に弁護人選任届を提出するとともに、被害者にコンタクトを取りました。

Fさんは、不同意わいせつの故意を争っていましたが、手が胸に当たった可能性は否定できないこと、下腹部のつぼを押したことは間違いないこと等を総合して、「被害女性に不快な思いをさせたことには間違いない」と思うに至り、示談交渉を進めていくことを弁護士に承諾しました。

 

 

弁護士の丁寧な示談交渉により、逮捕前に被害取下げ

謝罪のイメージイラスト被害女性は、店舗内で信頼するマッサージ師からわいせつな行為をされたとして深く傷ついており、示談交渉は難航しました。

しかしながら、被害女性の心情に寄り添いながら交渉を進めていきました。

Fさんが深く反省していること、謝罪の気持ちを強く持っていること、示談をすれば被害女性の心理的負担の軽減にも繋がることを丁寧に説明し続け、2週間ほどかけて、示談を成立させました。

示談書とともに、被害届取下げ書も作成し、即日で警察に提出しました。

告訴状を提出しない旨の条項も示談書に組み込まれ、Fさんは逮捕・起訴される不安から解放されることができました。

 

 

今回のポイント

職業を利用した不同意わいせつとなると、警察は厳しく捜査をするため、弁護士による迅速かつ適切な弁護活動がなければ、逮捕・起訴される可能性はかなり高いものでした。

現に、Fさんは、示談が成立するまでの間、複数回にわたって、警察や検察からの取調べを受けていました。

また、弁護人は、受任直後から、警察に対して、被害女性のためにも事件をメディアに公表しないことを強く求め続け、Fさんの事件は何ら公になることなく解決を迎えることができました。

今後もマッサージ師として活動していくためには、事件がメディアに取り上げられないことはとても重要でした。

 

 

被害届の取り下げで重要なこと

上記の事例のように、不起訴を獲得するためには、被害届の取り下げがとても重要です。

ここでは、被害届の取り下げの重要なポイントについて解説します。

強要は絶対にしないこと

被害届の取り下げは、加害者にとっては絶対に叶えたいものです。

しかし、相手方である被害者は、決して簡単には応じてくれないでしょう。

このようなとき、相手方に取り下げるよう強く求めてしまうケースが見受けられます。

このような強要をしても、被害者は決して応じてくれません。

それどころか、別に強要罪という犯罪が成立する可能性があります。

また、強要罪が成立しなくても、捜査機関に悪い印象を与えてしまい、今後、逮捕や勾留を請求されるなど、不利になってしまうことが懸念されます。

さらに、起訴された後、量刑において不利に働く可能性があります。

すなわち、反省するどころか、被害者を共用したとして、刑罰が重くなる可能性があるのです。

したがって、強要行為は絶対にしてはいけません。

 

 

被害者の連絡先を知る

不同意わいせつの被害者と示談交渉を開始するためには、まず、相手方の連絡先(携帯番号等)を知る必要があります。

しかし、ほとんどの場合、加害者が被害者の連絡先を知ることはできません。

捜査機関は、加害者本人に対し、被害者の連絡先はもちろん、一切の個人情報を開示しないからです。

では、どのようにすればよいのでしょうか。

刑事弁護士に依頼をすれば、その弁護士は通常、示談の提示のために、捜査機関(検察官)に連絡し、被害者の電話番号を照会します。

検察官は、被害者に連絡をとって、弁護士に電話番号を伝えてよいかを確認し、弁護士にその情報を交付します。

このようにして、示談交渉を開始できます。

 

 

 

示談を成功させる

加害者が被害者と顔見知りの場合はその電話番号等を知っている場合もあります。

しかし、加害者本人が示談をもちかけても、被害者は接触すら拒絶する可能性が高いと考えられます。

性犯罪の被害者の心境として、加害者とは二度と接触したくないと思っているからです。

また、仮に接触できたとしても、当事者同士では感情的になってしまい、示談交渉がうまく進まないケースがあります。

このようなことから、被害者との示談交渉は、刑事事件に精通した弁護士に任せるとよいでしょう。

刑事事件の経験が豊富な弁護士であれば、被害者の感情に配慮した交渉を行ってくれることから、示談成功の可能性が高まると考えられます。

 

 

不同意わいせつの被害届の取り下げに期限はある?

被害届の取り下げは、法的な意味での期間制限はありません。

しかし、一刻も早く取り下げてもらうように行動すべきです。

なぜならば、捜査が進むと逮捕や勾留をされてしまうかもしれません。

身柄が拘束されると、家族や職場に犯行内容が知られてしまう可能性もあります。

なお、強制わいせつの令和4年の全国の認知件数は4708件であるところ、そのうち検挙された件数は4062件にものぼり、検挙率は86.3%となっています。

引用:令和5年版犯罪白書

また、起訴されてしまうと、刑事裁判が始まってしまいます。

この段階になると、99.9%有罪となるため、前科が付く可能性が極めて高くなります。

したがって、できるだけ早い段階で、刑事事件専門の弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

 

まとめ

弁護士以上、不同意わいせつの被害届の取り下げについて、実際の事例をもとに解説しましたが、いかがだったでしょうか。

不同意わいせつの事案では、人違いなどの無罪の場合は別として、故意がなかったとしても、示談交渉を早期にスタートすることが重要です。

示談交渉に関しては、経験豊富な刑事事件専門の弁護士に、できるだけ早い段階で任せることがポイントとなります。

そのため、まずは刑事事件専門の弁護士に相談されることを強くお勧めいたします。

 

 


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