強制性交等罪でも執行猶予はつきますか?

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

刑法改正による影響について

2017年の刑法改正によって、それまで強姦罪と呼ばれていた犯罪は強制性交等罪となり、処罰対象となる行為や保護対象者が拡張されるのと同時に、法定刑が「3年以上の有期懲役」から「5年以上の有期懲役」と変わりました。

六法全書強制的に性交等を行うという行為は、被害者の性的自由を強く侵害する行為ですので、被害者に大きなダメージを与えてしまいます。

その行為の重大さに法定刑が合っていないと考えられたことから、法定刑の下限が引き上げられています。

それでは、強制性交等罪となり法定刑の下限が引き上げられたことで、強制性交等罪の執行猶予にはどのような影響があるのでしょうか。

執行猶予についての基本的な条文は、刑法第25条1項です。

刑法
第25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
1 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

弁護士この条文に書いてあるとおり、懲役刑が想定される場合に執行猶予を付けるためには、少なくとも懲役3年以下の判決である必要があるとされています。

しかしながら、強制性交等罪の法定刑の下限が5年となったことで、強制性交等罪については原則として懲役3年という判決が言い渡されることがなくなってしまいました。

これは、強制性交等罪で執行猶予を獲得するために大きな問題となります。

強制性交等罪に変わったことの影響について、詳しくはこちらからどうぞ。

 

 

執行猶予の可能性について

以上のような法改正により、強制性交等罪において執行猶予を獲得することは難しくなりましたが、まだ執行猶予が付く可能性は残されています。

法律上、刑を軽減することが認められている場合があるからです。

刑の軽減について定めているのは、刑法第68条です。

刑法
68条
法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1(省略)
2(省略)
3 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。

刑法と弁護士バッジ

この条文からわかるように、法律上で刑を軽減すべき事由がある場合、懲役刑の長期と短期が半分になります。

つまり、強制性交等罪の場合には、「5年以上の有期懲役」ではなく、「2年6月以上10年以下の懲役」の範囲で刑罰が言い渡されることになり、懲役3年以下の判決を言い渡される可能性が出てくるということになります。

それでは具体的にどのような場合に法律上刑を軽減すべき事情があるとされているのか、いくつかの場合を以下で紹介します。

①自首減軽

警察署刑法第42条1項は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と定めています。

捜査機関が事件や犯人を特定できていないときに自分から出頭することで、刑が減軽されることがあり、執行猶予の可能性が出てくるということです。

自首がどの様な場合に成立するかについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。

また、当事務所の自首同行サービスについては、こちらのページをご覧ください。

 

②未遂減軽

犯罪刑法第43条本文は、「犯罪に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」と定めています。

未遂犯の場合には、被害結果が発生していないことに着目して、刑の軽減が許されています。

たとえば、性交を試みたものの、相手に抵抗され、逃げられた等の場合であれば、刑が軽減され、執行猶予の判決となる可能性があります。

また、同条ただし書に、「ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」とあります。

このような場合を中止犯と呼びます。

ここで注目すべきなのは、他の多くの減軽事由について「減軽することができる」と定められているのと異なり、「減軽する」と定められている点です。

つまり、無理矢理性交を試み、そのまま性交することが可能と思われる状況となったにもかかわらず、自らの意思で犯行を止めた場合には、確実に刑が軽減されることになります。

 

③酌量減軽

調書刑法第66条は、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。」と定めています。

情状とは、例えば生育環境が犯行に影響を大きく与えていた場合など、幅広く被告人の刑を決めるにあたって考慮して挙げるべき事情です。

他の減軽事由を主張することが難しい場合だけでなく、ほとんどのケースではこの酌量減軽を目指すことになるでしょう。

 

 

示談交渉の重要性

弁護士牟田口裕史上記の減軽を受けることが執行猶予を受けるための大前提となります。

しかしながら、減軽を受けるのみならず、さらに裁判官に、「執行猶予が相当である」と判断してもらう必要があります。

その際に最も重要になるのは、判決までに、示談を成立させ、被害者の許しを得ることです。

被害者の許しを得ることができれば、執行猶予の可能性が見えてきます。

示談交渉について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

 

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当事務所には、刑事事件チームが設置されており、刑事専門の弁護士があなたの弁護人として最大限のサポートを行います。

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執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

実績紹介 / 刑事事件の相談件数年間200件超え(2019年実績)を誇るデイライ

ト法律事務所の代表弁護士。法律問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて法

律問題についての取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執

筆。


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