風営法違反とは?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

風営法とは

風営法(ふうえいほう)とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の略語です。

風営法の規制の対象は、キャバレーやパチンコ等の風俗営業と、いわゆるソープランド等の性風俗関連特殊営業(以下「性風俗」といいます。)です。

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

これらの営業を無許可で行ったり、名義貸しを行ったり、性風俗店で18歳未満の者を働かせたりした場合、風営法違反として、厳しい罰則を受ける可能性があります。

ここでは、風営法違反で、特にご相談が多い事例について解説いたします。

 

 

キャバクラ等の無許可営業

【罰則】
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科

無許可で風俗営業※をしたり、営業停止命令に違反したりした場合などに、風営法第49条違反で処罰を受けます。

※風俗営業は上記の例とおりであり、性風俗は含まれません。

根拠条文

(営業の許可)
第三条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

デリヘルやソープ等の不届営業

【罰則】
6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科

公安委員会に届け出をしないで、性風俗を営んだ場合、風営法第52条違反で処罰を受けます。

根拠条文

(営業等の届出)
第二十七条 店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別(第二条第六項各号に規定する店舗型性風俗特殊営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。

(営業等の届出)
第三十一条の二 無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、無店舗型性風俗特殊営業の種別(第二条第七項各号に規定する無店舗型性風俗特殊営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業の本拠となる事務所(事務所のない者にあっては、住所。以下単に「事務所」という。)の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。

第五十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
四 第二十七条第一項、第三十一条の二第一項、第三十一条の七第一項、第三十一条の十二第一項又は第三十一条の十七第一項の届出書を提出しないで性風俗関連特殊営業を営んだ者

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

未成年者を性風俗で働かせる

【罰則】
1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科

ソープ、ヘルス、デリヘルなどの性風俗にあたって、18歳未満の者に接客等をさせた場合、風営法第50条違反で処罰を受けます。

根拠条文

第二八条
12 店舗型性風俗特殊営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
三 営業所で十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

第三十一条の三
3 無店舗型性風俗特殊営業を営む者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
五 第二十八条第十二項第三号の規定又は同項第四号若しくは第五号(これらの規定を第三十一条の三第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定に違反した者
六 第三十一条の三第三項第一号の規定に違反した者

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

悪質な客引き

【罰則】
6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科

客引きをしたり、客引きをするため、道路等で人の身辺に立ちふさがったり、つきまとったりした場合などに、風営法第52条違反で処罰を受けます。

根拠条文

(禁止行為等)
第二十二条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一 当該営業に関し客引きをすること。
二 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

第五十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第二十二条第一項第一号若しくは第二号(略)の規定に違反した者

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

名板貸し

【罰則】
2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科

公安委員会から風俗営業の許可を受けた者が自分の名義を使って他人に風俗営業をさせた場合、風営法第49条違反で処罰を受けます。

根拠条文
(名義貸しの禁止)
第十一条 第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。
第四十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
三 第十一条(第三十一条の二十三において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

引用元:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|電子政府の総合窓口

 

 

客は処罰される?

風営法違反の規制対象は店側となります。

したがって、客として出入りしているだけでは基本的には処罰の対象となりません

しかし、相手の女性が18歳未満と知って性交を行った場合、風営法違反としてではなく、児童買春や児童ポルノ禁止法違反によって処罰される可能性があります。

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児童ポルノについて

 

 

風営法違反の時効

公訴の時効※は、刑事訴訟法に規定があります。

公訴時効は、刑の重さによって異なります

長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪についての公訴時効は3年となります。

※公訴時効とは、犯罪発生後、一定期間内に、犯人を裁判所に起訴しなければ、刑が科せられないという制度です。

 

 

弁護方針

風営法違反を認める場合

風営法違反が発覚した場合、刑事上の処罰の前に、行政上の処分として、「許可取り消し」、「営業停止」、「指示」などの処分を受けることがあります。

この段階で処分に従えば、刑事上の処罰を受ける可能性は小さくなるので、この段階で速やかに対処することが事態を大きくしないためにも重要です。

風営法違反行為は、社会の秩序を乱す重い犯罪として受け止められており、違反行為が発覚した場合、その経営者などの重要人物は、逮捕される可能性が高くなっています。

逮捕されると最大で23日間、身体を拘束されることになりますから、私生活に大きな支障をきたすことを避けられません。

そのため、風営法違反を認める場合、早期に釈放されるよう働きかけることが重要な弁護活動となります。

早期釈放に向けて重要なのは、風営法違反行為を行うに至った原因を解明し、再発防止に向けた案を明確に打ち出すことです。

弁護士が聴き取りを行い、再発防止に向けた案を報告文書等の形にして検察官に提出します。

また、刑罰の内容として、懲役と罰金があります。

弁護士の働きかけによって、懲役刑を科されるところを、罰金刑に抑えたり、執行猶予付きの判決を得たりして、刑務所に入る必要が無くなる場合があります。

弁護士の技量と熱意によって、判決も影響を受けてきますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要になります。

 

風営法違反を認めない場合

18歳未満であることを知らずに18歳未満の者を雇っていた場合や、従業員が客引きしていることを知らなかった場合は、そのことを示す証拠を豊富に収集し、検察官や裁判所に提出し、無罪を主張していくことになります。

知っていたか知らなかったかという問題は、従業員への聞き込みや、契約内容の精査など、地道な弁護活動を熱意を持って行う必要があります。

弁護士の技量と熱意によって、証拠の収集は大きく影響を受けてきますから、刑事事件に特化した弁護士を選任することが重要になります。

 

まとめ

弁護士以上、風営法違反について、内容や弁護方針を詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

風営法違反は、捜査機関の不当な捜査によって、事業活動が停止してしまう可能性もあるため、きめ細やかな弁護活動が必要となります。

また、違反を認めない場合は無罪の立証のために必要な証拠を収集するなどの活動も必要となります。

そのため、刑事事件専門の弁護士に相談されることをおすすめしています。

当事務所には、刑事事件に注力する弁護士が在籍しており、刑事弁護を強力にサポートしています。

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