執行猶予の期間が満了したらまた執行猶予が付く?【弁護士解説】

事例人物4年前に度重なる万引きで懲役2年執行猶予3年の判決を受けました。

執行猶予期間中は何も悪さをしないように気をつけていたので、何も犯罪は行いませんでした。

しかし、執行猶予期間が明けてから1か月ほど経って、鍵がかかってない自動車を見かけて車上荒らしをしてしまい、起訴されてしまいました。

また執行猶予は付くのでしょうか。

執行猶予が付く可能性はありますが、簡単ではありません。

 

 

執行猶予の期間満了に伴う効果

解説する弁護士のイメージイラスト執行猶予とは、有罪の判決を受けるけれども、その刑の執行を一定の期間行わないというものです。

例えば、懲役2年執行猶予4年という判決を受けた場合であれば、4年間、懲役刑の執行を行わずに様子を見てくれるということです。

執行猶予期間中にまた犯罪を行ってしまった場合には、執行猶予が取り消されることもあります。

それでは、執行猶予の期間に犯罪をせず、執行猶予の期間が満了した場合の効果はどうなっているのでしょうか。

この点について、刑法第27条は、「刑の全部の執行猶予の言い渡しを取り消されることなくその猶予の期間を経過したときは、刑の言い渡しは効力を失う。」と定めています。

つまり、執行猶予期間中に犯罪を行わなかった場合には、もうその事件について刑務所には行かなくていいということになっています。

 

 

再犯時の判断について

逮捕それでは、執行猶予期間が満了した後に、再犯を行ってしまった場合、どのような取り扱いとなるのでしょうか。

執行猶予期間が満了した場合の効果は、先ほど述べたように、「刑の言渡しの効力を失う」というものになります。

そうすると、執行猶予期間を満了している場合は、「禁錮以上の刑に処せられたこと」がないことになりますから、刑法第25条1項1号に該当することになります。

つまり、初犯の人と変わらない要件で執行猶予の有無が判断されることになるのです。

ただし、刑の言い渡しの効力が失われた結果として「禁錮以上の刑に処せられたことがない」とはいっても、それは刑務所に行かなくてよくなったということに過ぎません。

有罪の判決が言い渡された事実そのものが無くなるわけではありませんから、前科は残ったままの状態です。

そうすると、再犯を行った場合の裁判においては、前科があることが量刑において考慮されることになりますので、当然、初犯の人より刑が重くなる可能性は高くなります。

前科が同種の前科であれば、尚更この傾向は強くなります。

また、前回の裁判で今後の監督をしていくとして家族に証人になってもらっていた場合、再度証人として出廷してもらったとしても、監督能力に疑問があると判断される可能性があります。

他にも執行猶予期間が満了してからどのくらい経ってからの再犯なのか、犯行の内容としては前回執行猶予を言い渡されたものから悪質になっているのか等の事情が考慮された上で、執行猶予を付けるべきかどうかが判断されます。

例えば、執行猶予期間が満了してから間もない再犯である場合、反省の色が見られず、規範意識が鈍っているため社会内で更生することが難しいという判断がされる可能性は高くなってしまいますし、同じ窃盗罪であったとしても内容が万引きから侵入盗やひったくりになっている場合には犯行の悪質性が増しており、収容施設において矯正が必要であるとの判断がされる可能性が高くなります。

上記の事例では、執行猶予期間が満了してから間も無い犯行であり、前回の事件よりも悪質性が高い犯行態様になっていることを踏まえると、執行猶予が付く可能性は低いと言わざるを得ません。

 

 

まとめ

弁護士牟田口裕史画像このように、執行猶予期間を満了したとしても、以前に行った犯罪が無かったことになるわけではありません。

再犯を行ってしまった原因の改善や被害者がいる場合には示談交渉など、執行猶予を得るために最善を尽くす必要があります。

執行猶予の期間が満了したからまた簡単に執行猶予が付くなどと軽く考えず、必ず弁護士に相談するようにしてください。

執行猶予についてくわしくはこちらもごらんください。

 

 


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