なぜ自首を弁護士に依頼すべきなのか—メリットと方法を弁護士が解説—

 

自首に該当するケースとは?

自首とは、捜査機関に発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を述べ、訴追を求める意思表示と定義されます。

テレビなどでは、捜査機関が犯人を特定していても、自分から申し出ればすべて「自首」として扱われています。

しかし、上記の定義からは「捜査機関に発覚する前」になされることが必要です。捜査機関が犯人を特定している場合は、厳密には自首ではありません。このような場合、ここでは「出頭」といいます。

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逮捕される前に!弁護士が自首をすすめるケースとは!?

被害者が疑っている、気づいているケース

被害者が犯人と疑っていたり、犯人であると確信している場合、今後の流れとして、被害者は、警察に被害届を出す可能性が高いと考えられます。

被害届を受理すると、警察は犯人を特定し、犯行の具体的な態様等について捜査を始めます。

そして、証拠が揃えば、被疑者を逮捕するでしょう。逮捕は、事前の連絡もなく、突然、自宅や会社にやって来て、家族や同僚が見ている前で、行われることが多くあります。

もし、確実な証拠がなくても、被害届が出ている以上、参考人として事情聴取を受ける可能性があります。

事情聴取についても、事前の連絡なく、自宅や会社にやって来て、任意同行を求められることがあります。

したがって、被害者がいる犯罪で、かつ、被害者が犯人を特定しているケースはもちろん、疑われているようなケースでも、今後のことを考えると、自首した方がよいといえるでしょう。

目撃者がいるケース

被害者が犯人を特定できていない事案でも、目撃者がいるケースがあります。

また、薬物犯罪など、そもそも被害者がいない事案でも、犯行(薬物使用等)を目撃している方がいるケースもあります。

このようなケースでも、目撃者が捜査機関に対して刑事告発や通報を行う例は多くあります。

警察等の捜査機関は通報等を受けると、犯罪捜査を開始します。

捜査によって、犯人や犯行を特定すれば、逮捕される可能性があります。

また、逮捕されなかったとしても、被疑者や参考人として任意の事情聴取を受ける可能性があります。

逮捕にしても、事情聴取にしても、警察は何の前ぶれもなく、突然、やってくることが多いです。

したがって、目撃者がいるケースでは、自首を検討すべきです。

証拠が存在するケース

被害者や目撃者がいない場合でも、犯行の「証拠」が残っているケースが多くあります。

典型的に問題となる証拠は以下のとおりです。

 

スマホのやり取り

現在はスマホを持っている方がほとんどです。

このスマホは証拠として重要であり、捜査機関は決して見逃しません。

例えば、未成年者の売春などの犯罪は、出会い系サイト等にログインし、当該未成年者とのメッセージのやり取りを行うことが多く見受けられます。

このような場合は、被疑者のスマホに残っているメッセージだけでなく、当該未成年者のスマホに残っているメッセージや管理者のサーバーのデータが証拠となります。

未成年者が補導等された場合に、スマホを調べられて、売春が発覚する事案は多くあります。

また、売春以外の犯罪についても、サイト上でのメッセージのやり取りや、LINEなどのやり取りが証拠となることは多くあります。

さらに、Facebookやmixiなどの各種SNS上でのやり取りも同様です。

これらについて、共通しているのは、被疑者の方が自分のスマホのデータを消去しても、管理者のサーバーや関係者のスマホにデータが残っていることがあり、それが証拠となるということです。

また、捜査機関は、被疑者の方がデータを消去しても、復元する可能性もあります。

 

監視カメラ

現在は監視社会と言われるほど、街中のいたるところに監視カメラが設置されています。

例えば、道路、駅などの公共の場所だけではなく、会社、学校や被害者の自宅、マンションのエレベーターやエントランスなど、いたるところに監視カメラはあります。

被害者が犯人を特定できていない場合や、目撃者がいない場合でも、監視カメラが犯行を撮影し、録画している可能性があります。

 

銀行の取引履歴

詐欺、窃盗、横領等の財産犯の場合、銀行の口座を犯行に使用することが多くあります。

そのため、銀行口座は、重要な証拠となりえます。

通常、銀行は口座の情報や取引履歴と行った個人情報を一般的に開示しませんが、犯罪捜査となれば別です。

捜査機関からの要請があれば、口座情報を開示します。

このように、被害者が犯人を特定していない場合や、目撃者がいない場合でも、証拠がある場合は考えられます。

このような場合、捜査機関が証拠から犯人を特定する可能性があります。

犯人を特定すれば、逮捕されたり、任意同行を求められる可能性が高くなります。

したがって、証拠があるケースでは自首を検討すべきです。

 

 

自首のメリット

自首にはメリットが多くあります。

刑の減軽

自首の場合、刑法上、刑が減軽される可能性があります(刑法42条)。

したがって、当該犯罪が「捜査機関に発覚する前」か否かは重要な意味を持ちます。

もっとも、自首ではない、出頭の場合、まったく意味が無いかというとそうではありません。

自首に該当しなくても、自らの罪を申し出た場合、仮に後に起訴されたとしても、情状が良くなり、刑が軽くなる可能性があります。

なぜならば、このような行動自体が犯人が反省していることや、社会復帰の可能性があることを示す事実といえるからです。

安心できる

自首は、法律的なメリットのほか、感情面でも大きなプラスとなります。

なぜならば、いつ逮捕されるのか、びくびくしながら生活するよりも、自らの過ちを正直に告白し、罪を償った方がはるかに気持ちが楽になるからです。

逮捕や勾留を回避できる可能性がある

自首や出頭することで、逮捕や勾留を回避できる可能性が高くなります。

すなわち、逮捕するには、「逮捕の必要性」が要件です(刑事訴訟法199条2項)。

逮捕の必要性とは、「被疑者が逃亡するおそれ」「被疑者が罪証を隠滅するおそれ」(刑事訴訟規則143条の3)のことをいいます。

自首や出頭は、被疑者自身が罪を認めて反省していることを示します。

したがって、逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれはないと判断される可能性が高くなります。

家族や職場への突発的な連絡を防ぐ

自首や出頭を行うと、捜査機関が自宅や会社に突然やってくる可能性は低くなります。

したがって、家族や職場の同僚・上司等に犯行を知られるリスクを低減できるいえるでしょう。

供述の信用性が増す

犯行について、大筋は認めても、被害者や目撃者の言い分と事実関係が異なることがあります。

例えば、傷害罪では、被害者に怪我をさせてことは認めても、被害者から暴力を受けたことについて被害者側が否定している場合などです。

このような事実は、被疑者の方に有利な情状として働きます。また、場合によっては正当防衛として犯罪とならない可能性もあります。

自首をせずに、逮捕されてから自分に有利な事実を供述しても、なかなか信用してもらえないものです。

これに対して、自首や出頭は、自ら進んで犯罪事実を申告することであり、被疑者の誠意の現れといえます。

このような被疑者の言い分であれば、信用してもらえる可能性が高くなります。

 

 

自首同行サービスの内容

自首をお考えの方は、まずは当事務所にご相談ください。

当事務所では、自首をお考えの方に対して、以下のサービスを提供しています。

自首後の見通しをわかりやすく解説

警察へどのように言えばいいのかだけでなく、自首した後の捜査の内容、起訴の有無(裁判の有無)、執行猶予の有無、量刑(どの程度の刑罰が予想されるか)等について、刑事事件にくわしい弁護士がご説明します。

警察署への同行

自首する際に弁護士が一緒に警察署へ同行します。

この場合、弁護士が捜査担当者に対して、逮捕しないように強く要請します。そのため、身柄を拘束される可能性が下がります。

また、身柄を拘束された場合、不起訴を獲得したり、減刑するために、迅速に弁護活動を開始できます。

任意聴取への立会

警察からの事情聴取の際、事実と異なる自己に不利益な供述調書が作成される可能性があります。

この供述調書は、後に裁判の証拠となる可能性もあります。

弁護士が事情聴取に立ち会うことで、そのような事実と異なる供述調書の作成を防ぎます。

自首が成立するのは、捜査機関が事件を把握できていない場合や、犯人がだれかがわかっていない場合です。

捜査が進展すると、犯罪が捜査機関に発覚し、自首の要件に該当しない事となります。

自首について、ご検討されている方は、福岡屈指の刑事弁護チームである私たちにご相談ください。

 

 

証拠がない場合でも自首すべきか?

証拠がない事案や証拠が不十分な事案でも、自首をすべきですか?というご相談を受けます。

このような事案では、自首をしなかった場合、不起訴となる可能性がとても高いといえます。

自首をすると、捜査機関に犯罪捜査をするための重要な証拠を与えることになるため、自らの首を絞めてしまう結果になるのではないかと考える方も大勢いらっしゃるでしょう。

しかし、上記で解説したように、自首のメリットの中には、自首をすることによる安心感があります。

いつ逮捕されるのか、不安な日々を送るよりも自首をしてすっきりとされたほうが精神的には良いかもしれません。

また、「証拠の有無」は捜査機関しか把握しておらず、容疑者の方では判断できないはずです。

そのため、証拠がない事案でも、自首は選択肢として十分あると考えます。

 

 

自首のデメリット

自首のデメリットとしては、一般的には「自首しなければ本来起訴できなかったような事案において処罰を受ける可能性が生じる」ことだと考えられます。

しかし、上記のように、「証拠の有無」は捜査機関しか把握できません。

また、デメリットをおそれて、自首をしない場合はその代償として不安な日々を送ることとなります。

そのため、デメリットと言えるかは疑問です。

 

 

自首事案の手続きの流れ


ご相談

まずはお気軽にご相談ください。

ご相談は無料です。

ご相談の内容に応じて、そもそも自首ができる事案なのか、自首すべきなのか等について、刑事事件チームの弁護士がわかりやすくご説明いたします。

なお、相談は、しっかりと状況を確認させていただくために、ご来所してもらってからのご相談となります。

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自首の準備

ご依頼を受けた後、直ちに管轄の警察署に報告し、自首の手続きを進めます。

また、状況に応じて、必要があれば弁護士名の「自首報告書」を作成し、数日以内に管轄警察署へ提出します。

これにより、担当警察官に事案の概要を把握させ、スムーズに自首を受理させることが可能です。

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自首

事前に、担当の捜査官と日程を調整し、管轄の警察署へ自首します。

このとき、刑事事件チームの弁護士が同行し、依頼者の反省などを担当警察官に直接伝え、できる限り私生活に影響を与えずに捜査するよう求めます。

警察署の運用によっても異なりますが、可能であれば、当日の事情聴取にも立ち会います。

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捜査

自首の場合、被害者の特定に時間がかかります。

例えば、被害者がいる犯罪では、携帯電話やサーバー上の履歴等から被害者の特定を行いますが、数ヶ月かかるのが通常です。

ほとんどの事案では、本格的な取り調べは、被害者の特定ができてからになります。

取り調べは、1度だけではなく、複数回行われることとなる可能性が高いです。

その間、刑事弁護士が警察署に状況を確認し、必要な弁護活動を行います。

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送致、処分

警察での取り調べが全て終わると、事件が検察庁に送致されます。

担当の検察官が決まり次第、刑事事件チームの弁護士が検察官と協議し、できるだけ軽い処分となるように交渉します。

なお、検察庁でも取り調べはありますが、すでに警察署で詳細な事実関係を取り調べているため、一回で終わることが多いです。

取り調べの後に最終的な処分が決定されます。

 

弁護士費用(税込)

自首同行サービスの弁護士費用

11~22万円

自首後の弁護活動

自首後、不起訴処分を目指して弁護活動を行う場合の費用

着手金22~44万円
報酬金22~44万円

 

 

 


なぜ弁護士選びが重要なのか

自首についてよくある相談Q&A