酔って記憶がないときの警察への対処法とは?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・3級ファイナンシャルプランナー

暴行・傷害の疑いをかけられていますが、泥酔しており、記憶がなく、当時の状況が分かりません。

どうしたら良いですか?

 

取調べにおいては、記憶がないことをそのまま正直に話しましょう

①あなたが暴行した事実が真実ではない可能性、②暴行をしたのは事実であるが正当防衛である可能性、③暴行態様が真実を越えた悪質なものとなっている可能性がありますから、安易に、「そのとおりで間違いありません」などの供述をしないよう注意が必要です。

記憶がないということを警察にしっかりと伝える必要があります。

 

 

可能な限り、記憶を呼び起こしましょう

警察からは、被害者がなんと言っているのか、目撃者がなんと言っているのか、防犯カメラに何が映っているのか等、様々な情報があなたに伝えられます。

あなたは、それらの情報を基に、可能なかぎり記憶を呼び起こす必要があります。

あなたが暴行をしたこと自体が真実であると確信を持てるようであれば、早急に弁護人を選任の上、示談交渉を検討すべきです。

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記憶がないことは、刑事事件において有利には働きません

記憶がないと発言をし続けても、基本的に、刑事事件において有利になることはありません。

あなたの記憶がない以上、被害者の供述に信用性が認められることが多いですし、記憶がない状態であると、反省していないと見られ、重い刑罰を科されかねませんし、示談を成立させることも困難です。

だからといって、記憶にないことを安易に認めることも危険ですから、「可能な限り記憶を呼び起こす」に尽きます。

 

 

「酔って記憶がない」と嘘をついてよいか?

本当に記憶がなかったとしても有利には働かないのですから 、本当は記憶があるにも関わらず 、「酔っていて記憶がない」と供述し 、後にそれが虚偽であると判明した場合 、いっそう不利に扱われる可能性が高まってしまいます。

捜査機関は 、そうした虚偽を述べる供述態度を見て 、「自分の犯した罪に真摯に向き合おうとせず 、反省の色が見られない」と判断することになります。

その結果 、厳しい処分としなければ反省を促すことはできないとして 、略式命令による罰金刑としたり 、起訴され正式裁判を提起されたりしてしまいます。

また 、そうした供述態度は 、場合によっては捜査機関から被害者に伝わってしまうこともあります。

その場合 、被害者の怒りが増大することは明らかです。

素直に反省し謝罪をしていれば 、被害者に受け入れてもらえ 、示談が成立する余地があるかもしれません。

ですが 、嘘をついて罪を逃れようとする不誠実な供述態度を取ってしまうと 、そうした可能性を自ら潰すことになってしまいます。

以上の理由から 、本当は記憶があるにも関わらず 、嘘をついてしまうことは絶対にすべきではありません

 

 

記憶がない場合も示談すべきか?

記憶がない場合も 、被害者に連絡を取り 、示談交渉を行う必要はあるのでしょうか。

捜査段階では 、弁護人でも捜査機関が有している証拠を確認することはできません。

ですので 、実際に手を出してしまったのかどうかは直ちには明らかにはならないのです。

「一切手を出していない」と確信を持って言い切れるのであれば 、示談しないという選択肢もあり得るかもしれません。

ですが 、「手を出したかどうかまでは覚えていないが 、被害者と揉め事になったところまでは覚えている」「怪我した箇所を殴ったかどうかは覚えていないが 、手を出してしまったかもしれない」など 、多少なりとも記憶が残っている場合は 、示談すべきであると考えられます。

もちろん 、自らが覚えていない犯罪を認め 、示談金を支払うことに 、抵抗を覚える方もいらっしゃるかもしれません。

ですが 、多少なりとも自身に非があるのであれば 、そのことを真摯に謝罪し 、被害者の許しを得ておくことは 、検察官が最終的な処分をどうするか決定する上で 、処分を軽減するための材料として 、極めて重要な意味を持ちます

後のトラブルを防ぐためにも 、自身が納得いかない形での示談はすべきではありません

ですが 、双方が納得できる形での示談を成立させる余地があるのであれば 、示談成立のために動いておくことには大いに意味があるといえます。

 

 

不安な場合の解消方法とは?

酒に酔っている間の記憶がなく 、身に覚えのない疑いをかけられることで 、ご不安を抱えることになってしまう方もいらっしゃるでしょう。

どのような弁護活動をしていくべきか 、ご自身の記憶に応じて 、慎重に検討していく必要があります。

早期に弁護士の意見を聞き 、方針を立てていくことが得策といえます。

そして 、早期に示談をすべきであると考えられる場合は 、直ちに弁護人をつけた上 、示談交渉を進めていくべきです。

特に被害者の連絡先がわからないような場合 、示談交渉は弁護士でなければ行うことができません

迅速な解決のためにも 、速やかに刑事事件に注力する弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 


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