殺人罪で逮捕されてしまいました。死刑となる可能性はどれくらいありますか?

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

殺人罪で逮捕されてしまいました。事件のイメージイラスト

死刑となる可能性はどれくらいありますか?死刑を回避するためにどのような弁護活動をしてくれますか?

 

 

弁護士の回答

過去の統計上、死刑の割合はかなり低く抑えられています

殺人事件のイメージ画像殺人罪は、死刑から懲役5年までという幅広い法定刑が定められています。

さらに、刑法第66条に、
「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減刑することができる。」という酌量減刑の規定がありますから、執行猶予付の判決が出ることもあります。

令和元年版犯罪白書によりますと、平成30年の地方裁判所における殺人罪の死刑・懲役等の科刑状況は、死刑2件、無期懲役8件、15年を超え30年以下が35件、3年を超え15年以下が150件、3年以下が74件です。

参考:法務省ー犯罪白書ー

平成30年に殺人罪につき判決が下された事案が269件ありますので、死刑判決は総数の1%を切ることとなり、相当低い割合に抑えられていることがわかります。

 

死刑回避にむけた弁護活動

しかしながらやはり死刑の可能性がある以上は、死刑回避のために全力を尽くす必要があります。

そしてその弁護活動が、死刑回避のみならず、懲役期間の短縮化、場合によっては執行猶予付き判決にも繋がるのです。

死刑判決の判断に用いられる永山基準

裁判所は、死刑判決を出すかどうかの判断に際し、永山基準と呼ばれるものを採用していますので、これを紹介します。

これはかつて、被告人を死刑に処すべきか、弁護士側と検察側で強く争われた殺人事件で、当時の最高裁判所が示した基準です。

殺人事件のイメージ画像「結局、死刑制度を存置する現行法制の下では、犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められる場合には、死刑の選択も許されるものといわなければならない。」

9つの要素が挙げられています。その中でも重要なのは、①態様(殺害の手段方法の執拗性・残虐性)と、②結果の重大性(殺害された被害者の数)です。

 

永山基準①態様(殺害の手段方法の執拗性・残虐性)

ナイフのイメージイラスト①については、武器の有無、武器の危険性の程度、攻撃部位、攻撃方法、攻撃回数等から、態様の悪質性が判断されます。

検察側は、その態様が悪質であったことを示すために、取調べで自白を迫ってきます。

殺人行為を認めるにしても、捜査機関が作成する調書に無条件で署名・押印してしまうことは避けなければなりません。

なぜなら、捜査機関が作成した調書は、後に証拠として裁判で提出され、証拠調べがなされる可能性が高く、調書に記載したとおりの供述を行なったことを自白したとみなされてしまうからです。

自分がやってしまったことを認めるのはともかくとして、やってもいないことを安易に認めるようなことは絶対にしてはいけません。

また、やってしまったことについても、必要以上に悪い印象を与えるような書かれ方をされないよう、どのように書かれているかをしっかりと確認しておく必要があります。

取り調べなどのイメージイラストまた、裁判において、被告人質問が行われます。

その際に、態様の悪質性に関する質問が、検察側、弁護士側それぞれからなされます。

ここで被告人に有利な事情をしっかりと出すことが弁護士の重要な任務になります。

また、検察側による不当な誘導(誤導)がある場合、迅速に異議を述べることも同様に重要です。

 

永山基準②結果の重大性(殺害された被害者の数)

救急車のイラスト②についても、裁判所は重視しています。

2人以上殺害されていれば、死刑の可能性が大きく高まります。

負傷に終わった被害者がいる場合、その負傷者の存在をどのように量刑に組み込むのかについては、争いが生じえますから、弁護人による説得的な主張が重要になります。

 

 

死刑回避するために

弁護士宮崎晃画像死刑を回避するためには、
「犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大」とまではいえず、

「罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむをえないと認められ」ないと裁判所に判断してもらう必要があります。

これを実現するべく、弁護士として、早期から迅速に証拠収集活動を開始し、不当な自白調書を作成されないよう、被疑者に寄り添いながらサポートを行い、裁判において、死刑が不相当であると印象づけるような被告人質問や証人尋問、弁論を行っていきます。

殺人事件で逮捕・起訴されてしまった方は、刑事事件に注力する弁護士が在籍する当事務所にお気軽にご連絡ください。

 

 


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